2011年 03月 18日
貞観地震津波の津波到達域(「東京電力」は想定外と言うけれど) |
地元民の原子力発電所の安全に対する不安にも、有識者達の警告にも応えず、「とにかく原発建設ありき」で押し通して来た当時の政府や東京電力は、過去にも現実にあった三陸沿岸に発生して1000名以上の犠牲者を出したとされる「貞観津波」(貞観11年・西暦869年7月13日)という事実を無視して、津波を過小評価して安全対策基準を設定していたのは明らかです。
この貞観津波では今回の大津波と同様に海岸から内陸奥深くまで(当時の陸奥国府があったところまで津波が押し寄せたと言います)津波が襲い、仙台平野の浸水域は上図の薄緑で示すような、今回の大津波の到達エリアとほぼ同様な広大なエリアにわたっていたと推測されていますが、これを見れば往時の貞観津波の巨大さは素人目にも明らかであると言えます。
とにかく、東京電力は自社のHPの「津波対策」の項目で「過去にあった最大級の津波を上回る津波が来ても安全なように設計されている」とうたっていながら、過去の巨大地震を正当に評価せず、原発建設に不利なデータは隠して原発建設を進め、結果的に今回の大津波に対処出来ず、この国家的重大な危機を招いた当時の政府や東京電力の責任はあまりにも大きいと言えます。
なお、上図の貞観地震における津波到達域は、東京大学地震研究所・佐竹健治氏、行谷佑一氏、山本滋氏による論文「石巻・仙台平野における869年貞観津波の数値シミユレーション」、及び、東北大学大学院教授・箕浦孝治氏の「まなびの杜」16号掲載の論文「津波被害は繰り返す」等を参考に作成しました。
by rondoharmonia
| 2011-03-18 00:00
| 哲の雑記帖(トピックス)